60歳を超えた独立診断士の今

50歳からの副業

中小企業診断士の資格更新の1回目が、昨年2023年の4月にありました。診断士の場合は5年に1回の資格更新が必須となっています。更新するための要件は、5年間で以下を満たすこととなっています。

①専門知識補充要件

理論政策研修受講等5回以上/診断士に必要な知識のアップデートをするために、診断士協会等が実施する有料(6千円程度/回)の半日講習に都合5回以上参加。

②実務従事要件

診断助言業務に30日以上従事をクリア。

私の場合は、①については、参加すれば良いので毎年1回受講するようにしていたのと、②は、資格を取得してから2年間は企業内の副業でしたが、独立後は日々事業者支援を生業としていましたので、問題なくこの条件はクリアできました。
独立していない企業内診断士の場合は実際なかなか事業者支援の機会がないと思いますが、診断士協会が主催する実務従事案件でこの条件をクリアすることもできます。

2023年4月に診断士登録から5年が経過し、1回目更新の節目を迎えましたので、遅ればせながら、資格登録から今までを振り返ってみたいと思います。

企業内診断士の時代

試験合格後に診断士登録を4月に済ませた、2018年は厚生労働省のモデル就業規則において、副業・兼業が原則解禁と改訂された年でした。副業で診断士として活躍したいと思っていたので、さっそく勤めていた会社の人事部と掛け合い、個別申請を上げて診断士としての副業を許可してもらいました。

ただし、FP1級や行政書士の受験勉強をしていたのと、加えて、主業の仕事もそれなりに忙しかったのと、生活費はそちらで稼げていたので、登録後2年間は、実際のところ有償の仕事をほとんど受注していませんでした。


具体的な仕事としては、数件の専門家派遣業務やアンケート調査、低額の執筆業務などでした。

独立直後2020年の仕事

行政書士の資格を取得して、目途としていた3つの資格を一応取得することができました。定年退職前の59歳でしたが、2020年6月末に勤め先を退職し、独立することにしました。

独立した年はコロナ禍が始まった年で、事業者がその影響を大きく受けている年でした。
そのため、国や東京都の事業者向け支援金(持続化給付金や東京都の営業時間短縮協力金など)の申請支援のため、商工会や商工会議所の支援窓口が急遽開設されました。
独立当初はこの窓口担当としての仕事が中心となっていました。

2021年の仕事

2021年もコロナ禍は治まっておらず、商工会等の窓口支援も続いていました。
他方で、診断士仲間で作る支援団体や商工会等から紹介を受ける経営計画作成・営業支援などと言った経営コンサル業や、企業顧問先支援、大型の補助金である事業再構築補助金の申請支援、行政書士の建築業許可申請支援といった仕事も増えてきました。

受注が安定するようになり、年収的にもこの年からほぼ目標していた水準を確保することができました。

2022年の仕事

この年はコロナ流行3年目です。感染対策は取りながらではありますが、街中ではこれまであった規制が徐々に緩和されて、消費喚起策が取られた1年でした。

この年は私の仕事に大きな動きがありました。今までの東京での仕事に加えて7月から、大分県事業承継・引継ぎ支援センターの担当者としての仕事が加わったのです。
毎月2週間、大分市にある同センターで事業者の承継支援をすることになりました。診断士資格取得の大きな目的である故郷・大分の仕事を、いよいよ始めることができました。

2023年の仕事

この年の5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行され、コロナ禍対策支援業務はほぼなくなり、経営支援の専門家としての仕事が中心となりました。

引き続き大分の仕事も続けています。新たに加わった仕事としては、2022年にもありましたが市場調査や、事業再生支援、セミナー講師、ビジネス誌への寄稿などの業務が新たに加わりました。
逆に、診断士の仕事が中心となってきた関係で、行政書士の仕事にあまり時間を割けなくなってしまいました。

5年間の振り返り

昨年2023年4月が、登録5年目の診断士資格更新の年にあたりました。5年間を振り返ってみて、正直、経営コンサルタントとしての業務が安定したのは、サラリーマン辞し、独立を果たして2年目の2022年からでした。

やはり、独立後1年間は「名前を売る」期間・市場開拓期となるため、正直受注面では安定していませんでした。
ただ、独立2年が経過する頃から、診断士の先輩やサラリーマン時代の知人からの紹介で受注できた先から、幸いなことに口コミや紹介で仕事が繋がるようになりました。

読者の方の中には、診断士として独立して、年収がどれくらいになるの?生活できるの?といった疑問を持たれる人も多いと思います。

私の場合は大分の仕事・地域支援が目標であることから、そもそも年収を気にしていません。
ただ、頑張っている診断士仲間は結構10百万円の大台クリアしている人、またはそれ以上の人もそこそこいると思います。

私は現在、診断士の仕事が中心となってしまっていて、行政書士の仕事はほとんどしていません。

一方で、私が行政書士資格を取得した時の同期仲間とは、年に数回情報交換会をしています。この仲間は、遺言作成や相続などの民事系の仕事、外国人の在留資格申請、補助金申請支援、など様々な分野の仕事をしています。
仲間は皆さん仕事を熱心に取り組んでいることから、十二分に専門家として生活が成り立ってます。また、大台をクリアし仕事が多忙で、アシスタントを雇うか、それとも仕事のペースを落とすか悩んでいる人もいるくらいです。


診断士や行政書士の仕事をして感じることは、勤務時代と違い、上を向いても誰もいない、下を向いても誰もいない、仕事時間に制限もない代わりに、自由な時間も作れる、白紙な状態に自分の仕事を書き込むことができるといった感じです。

一方で、仕事を求めていかないと何の仕事も受注できない、いい仕事をしないと次の仕事がない、常に危機感もあります。ただ、個人的にはこの様な仕事が合っているなと思っています。

今後については、故郷の佐伯市の地域振興の一助ができないかといったことに軸足を移しつつ、引き続き微力ながら事業者支援などの仕事を続けていければと考えています。

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