補助金申請における事業計画の作り方(2)

経営関連

補助金申請における補助事業計画の考え方

持続化補助金の『事業計画』は2つのパーツに分かれています。前回のブログで説明をした会社全体のビジネスモデルとなる「経営計画」の部分と、今回の説明する「補助事業計画」で構成されます。

それでは、「補助事業計画」とはいったいどのような計画・内容をいうのでしょうか?
前回ブログで説明した経営計画では、「既存事業の強化」と共に、自社の「強み✕機会(チャンス)」で「新規事業」展開を考えると言いました。この新規事業展開の「設計図」を書くのが、持続化補助金でいう「補助事業計画」で、一般的な言葉でいうと「新規事業計画」のことを指すのです。

つまり、経営計画で考えた新規事業の実行内容を、詳細にブレイクダウンした戦術が、「新規事業計画」です。

新規事業計画とは

「新規事業計画」の作成にも、将棋でいう「定石」があります。「定石」とは、販売促進面では「誰に・何を・どのように」、生産効率面では販売先のニーズである「QCD(品質・販売価格・納期)」の改善」の計画をつくることです。持続化補助金の制度の目的は「地道な販路開拓等の取組み」なので、この補助事業計画では販促面に力点を置いて考えることになります。
生産効率面は、主に製造メーカーで最重要なアイテムですが、小売・卸売業では重要性はそれほどでもないので、持続化補助金では人事・経理・販売システム導入など間接部門の「業務効率化(生産性向上)の取組内容」としています。ついては公募要領で「記載が無くとも全く構いません」とまで言っています。

今回のブログでは、マーケティングである販売促進面の「誰に・何を・どのように」の説明へ特化したいと思います。

販売促進計画とは

「販売促進計画」を作るのも意外と簡単です。感覚的な流れで作成できます。

  • 誰に:商品やサービスの売り先を特定します
  • 何を:販売する商品やサービスのことです
  • どのように:商品やサービスの販路や広告宣伝をどうするのかです

この切り口で戦略を項目建てして考えていくのが良いと思います。それぞれについて、かいつまんで説明をしてみたいと思います。

1.誰に(販売ターゲット)

販売先を特定することは、新規事業を企画する上で非常に重要です。
「若い女性」向けと「中年男性」向けの商品を立ち上げる場合、宣伝の打ち方も当然違います。例えば、「若い女性」の場合だと、媒体は「Instagram」となるかもしれませんし、「中高年の男性」の場合は「新聞広告」かもしれません。
なので、新しい事業を立ち上げる場合は、その商品・サービスを「誰に」売るのかを慎重に絞り込んで決定する必要があります。

持続化補助金の申請においても、このターゲットとする販売先を決めた、背景とする「販売先のニーズ」「商圏市場の規模」等と関連づけながら説明することが必要となります。

2.何を(商品・サービス特性や価格)

販売先へ提供する商品やサービスを説明します。ターゲットとする販売先のニーズに従うと「商品・サービスの特徴」はどのようになるかを説明します。
例えば、中高年向けの髭剃り後のローションの場合は、「爽やかさやフレグランス」を遡及するよりも「保湿や肌荒れ防止」を遡及した方が良いでしょう。ついては、商品もそのニーズに合わせたものになります。また、価格の設定も中高年の可処分所得からして「廉価」ではなく「それ相当の価格」でも売れるかもしれません。

補助金申請でも、上記の様な説明を丁寧に行います。

3.どのように(販促や販売ルート)

「プロモーション」や「商流」の戦略です。
上記のローションの例で言いますと、販促は雑誌や新聞といったものも良いかも知れませんが、髭剃りを売っている薬局の棚に貼るPOPなどの方が効果が上がるかもしれません。また、中高年男性であればWEB広告は「Instagram」や「Twitter」よりも、参加者の多い「Facebook」の方が効果があるでしょう。販売ルートで言うと、ネット通販よりも薬局での直接販売の方が売れるかも知れません。

以上、簡単に「誰に・何を・どのように」で説明をしましたが、この切り口を「販売ターゲット・商品やサービスの特徴・販促や販売ルート」といった見出しで整理すると良いと思います。

この切り口を持続化補助金の「補助事業計画」に当てはめると、申請の読み手がより分かりやすい内容となると思います。見出しを作らずに、漫然と書き込んでいくことは、補助金申請においては避けた方が良いでしょう。

持続化補助金の「補助事業計画」は

持続化補助金における「補助事業計画」にも、一部に上記と同じ項目を書き込む構成となっています。具体的には、「2.販路開拓等の取組内容」の項目へ詳細に記述します。

補助金の項目定石では具体的な項目
1.補助事業で行う事業名・30文字で表現する新規事業の「キャッチコピー」です
2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容販売促進計画(誰に・何を・どのように)です「誰に・何を・どのように」で整理して、計画を作成する
3.業務効率化(生産性向上)の取組内容生産効率改善(QCDの改善)計画です  倉庫管理システム・労務管理システム POS・経理会計システム等を購入して、業務効率化する取り組み/省略可能
4.補助事業の効果新規事業が会社への寄与内容・売上の増加の説明 ・市場シェアの改善 ・ブランド価値の向上 など、定量的・定性的な切り口で会社に与える新規事業のメリットを説明すると良いと思います。

ところで、今回は「販売促進計画」に的を絞って書いていますので、詳しくは触れませんが、「4.補助事業の効果」の記載は、補助金申請においては非常に重要な部分です。

最後に

今回も少し長く分かりづらい文章となってしまいましたが、「補助金申請」においてだけ「経営計画や新規事業計画」を作成するのは、確かに面倒です。
少し発想を変えて、「計画」を作成するチャンスだと思うのが良いかもしれません。冒頭に言いましたが、経営にも「設計図」は必要です。ぜひ、補助金の申請を機会に作成してみてはいかがでしょうか。

次回のブログからは、再度「50歳からの副業・独立のシリーズ」に戻りたいと思います!

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